考えられる疾患
1.肛門の炎症・刺激

- 痔核(いぼ痔)(排便後の違和感、かゆみ)
- 裂肛(切れ痔)(便秘時の痛み+かゆみ)
- 肛門周囲湿疹・皮膚炎(汗、下着の刺激、石鹸や湿布によるかぶれ)
2.感染症
- カンジダ症(真菌感染)(白っぽい発疹、湿ったかゆみ)
- 細菌感染(肛門周囲膿瘍・痔瘻)(発熱、腫れ、膿が出る)
- 尖圭コンジローマ(性感染症)(小さなイボが多数でき、かゆみや違和感)
- 蟯虫症(ぎょう虫感染)(夜間の強いかゆみ、子供に多い)
3.消化管疾患

- 過敏性腸症候群(IBS)(下痢・便秘の繰り返し、排便後のかゆみ)
- 炎症性腸疾患(IBD)(潰瘍性大腸炎・クローン病:粘血便、下痢)
4.全身疾患・アレルギー
- 糖尿病(皮膚の乾燥、免疫低下による感染症)
- 肝疾患(胆汁うっ滞)(皮膚のかゆみ、黄疸を伴うことも)
- アレルギー性皮膚炎・アトピー性皮膚炎(肛門周囲のかゆみ)
鑑別のポイント
☑かゆみの強さと持続時間
夜間の強いかゆみ
蟯虫症(ぎょう虫感染;小児)
排便後にかゆみが続く
痔核、裂肛、過敏性腸症候群(IBS)
持続的な湿ったかゆみ
カンジダ感染、肛門周囲湿疹
☑随伴症状の確認
しこり・イボがある
- 尖圭コンジローマ、痔核
膿や出血がある
- 肛門周囲膿瘍、痔瘻
粘血便・慢性下痢
- 潰瘍性大腸炎・クローン病(IBD)
黄疸・皮膚の乾燥
- 肝疾患(胆汁うっ滞)
☑生活習慣・環境
汗をかきやすい、
下着の締め付け
肛門湿疹
石鹸やウェットティッシュを
よく使う
接触性皮膚炎(かぶれ)
ストレスや食事の影響
- 過敏性腸症候群(IBS)
必要な検査
肛門診察・直腸指診
痔核、裂肛、コンジローマの確認
皮膚検査(真菌培養、
アレルギーテスト)
カンジダ症、湿疹の診断
便検査(蟯虫卵検査、
便培養)
蟯虫症、細菌感染の確認
血液検査(糖尿病、肝機能、アレルギー検査)
- 全身疾患のスクリーニング
まとめ
- 排便後のかゆみは痔核や過敏性腸症候群(IBS)の可能性が高い
- 湿ったかゆみはカンジダ感染や肛門湿疹の可能性
- しこりやイボがある場合は尖圭コンジローマの可能性も考慮
- 慢性的な下痢や粘血便がある場合は炎症性腸疾患(IBD)を疑い、大腸内視鏡検査を推奨
▶ かゆみが続く場合は、肛門科や皮膚科を受診し、原因を特定することが重要!