考えられる疾患
1.痔核(いぼ痔)

- 内痔核(肛門内の静脈が腫れ、排便時に脱出することもある)
→症状: 排便時の出血、違和感、進行すると脱出して戻らなくなる - 外痔核(肛門の外に血栓ができ、腫れて痛む)
→症状: 強い痛み、腫れ、突然の発症
2.肛門ポリープ・
直腸粘膜脱
- 肛門ポリープ: 良性腫瘍で、肛門周囲にしこりを感じることがある
- 直腸粘膜脱: 排便時に直腸の粘膜が外に出る
3.肛門周囲膿瘍・
痔瘻(じろう)

- 肛門周囲膿瘍: 肛門の腺に細菌が感染し、膿がたまる
→症状: 強い痛み、発熱、腫れ - 痔瘻(あな痔): 肛門周囲膿瘍が破れ、トンネル状の穴ができる
→症状: しこり、膿が出る、慢性的な違和感
4.肛門周囲の皮膚疾患

- スキンタッグ(皮膚のたるみ): 過去の炎症や痔の治癒後に残る皮膚のひだ
- 尖圭コンジローマ(性感染症):
ヒトパピローマウイルス(HPV)による小さなイボが多数できる - ボーエン病(肛門周囲の表皮内がん): まれに肛門周囲に腫瘍ができる
5.直腸脱(肛門から腸が出てくる状態)
- 高齢者や便秘がちの人に多く、肛門からピンク色の組織が飛び出す
鑑別のポイント
☑痛みの有無
痛みが強い
外痔核、肛門周囲膿瘍、痔瘻
痛みなし
内痔核(脱出性)、スキンタッグ、直腸脱、尖圭コンジローマ
☑出血の有無
排便時の鮮血
内痔核、直腸粘膜脱
持続的な出血
- 直腸がんの可能性も考慮
☑しこりの性質
硬いしこり
肛門ポリープ、腫瘍(要精査)
複数の小さなイボ
尖圭コンジローマ
腫れていて膿が出る
痔瘻、肛門周囲膿瘍
☑便秘や排便習慣との関係
慢性的な便秘・排便時に脱出
直腸脱、内痔核
必要な検査
肛門診察・直腸指診
痔核、痔瘻、直腸脱の確認
肛門鏡検査
内痔核、肛門ポリープの評価
血液検査(感染症マーカー)
尖圭コンジローマや炎症性疾患の評価
組織生検(必要時)
- ボーエン病や腫瘍の診断
まとめ
- 肛門の出っ張り・イボの多くは痔核やスキンタッグだが、痛みが強い場合は外痔核や肛門周囲膿瘍の可能性が高い
- 持続的な出血やしこりが硬い場合、大腸ポリープやがんの可能性も考え、大腸内視鏡検査を受けることが推奨される
- 性感染症(尖圭コンジローマ)の可能性がある場合は皮膚科・肛門科で診察を受ける
- 便秘や排便時の違和感が強い場合、直腸脱の可能性も考慮する
▶ 痛みや出血がある場合、肛門科や消化器内科で適切な診断と治療を受けることが重要!