便秘とは?

便秘とは、本来体外へ排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態です。便秘の目安としてよく言われるのは、「排便が1週間に3回未満」もしくは「3日以上排便がない、または毎日排便があっても残便感がある場合」です。慢性便秘とは、長期間にわたって便秘の症状が続く状態を指します。慢性便秘の場合、これらの症状が数週間以上続くことが一般的です。便秘は個人によって異なる期間で起こる場合がありますが、一般的に以下の特徴があります:
1.頻度の低下
通常の排便頻度が減少し、数日以上便通がないことがあります。
2.便の硬化
排便が硬く、乾燥していることがあります。
3.腹痛や膨満感
便秘により腹部に不快感や膨満感を感じることがあります。
4.強い排便努力
便を排出するために強い努力を要することがあります。
5.不完全排便
排便が完全に行われず、感覚的に不快な状態が続くことがあります。
便秘の原因はさまざまで、食事、運動不足、ストレス、薬の副作用、慢性的な病気などが関連していることがあります。便秘は一時的なものから慢性的なものまで幅広い症状を持つため、原因を特定して適切な治療を行うことが重要です。
便秘は積極的に治療した方がよい?
はい、便秘は積極的に治療すべき状態です。便秘が長期間続くと、身体の不快感や健康への影響が増加する可能性があります。以下に便秘を積極的に治療すべき理由をいくつか挙げます:
1.健康への影響
長期間の便秘は、腹部不快感や膨満感、疲労感などの身体的な症状を引き起こすことがあります。また、便秘による長時間の便の滞留は大腸内の有害物質や発がん物質との接触時間を増加させ、大腸がんのリスクをわずかに上昇させる可能性もあります。
2.生活の質
便秘により日常生活が妨げられることがあります。便通の困難さや症状の不快感により、社会的な活動や生活の質が低下する場合があります。
3.慢性化の防止
便秘が長期間続くと、身体が便秘に適応してしまい、症状が慢性化する可能性があります。早期の治療により、慢性化を防ぐことが重要です。
4.潜在的な病気の早期発見
便秘は他の病気や身体的な問題のサインとなることがあります。便秘が長期化している場合、潜在的な病気の早期発見のために医師の診察を受けることが重要です。
便秘の治療には、生活習慣の改善、適切な食事、運動、水分摂取などが含まれます。また、必要に応じて薬物療法やプロバイオティクスの使用も検討されることがあります。便秘が続く場合は、自己処置を行わずに医師に相談し、適切な治療プランを立てることが重要です。早期の治療により、便秘を改善し健康を維持することが目標となります。
センナは便秘の治療薬として適切ですか?
センナは便秘の治療薬として一時的に使用されることがありますが、適切な使用と適応を守る必要があります。センナは植物由来の瀉下薬(下剤)で、便秘を解消するために腸の運動を刺激して排便を促進します。一般的に、センナは一時的な便秘の緩和に使用され、慢性的な便秘の長期的な解決には向いていません。
便秘と大腸がんは関連がある?
便秘と大腸がんの間には一定の関連性がありますが、直接の因果関係は確立されていません。ただし、長期間にわたる慢性的な便秘は、大腸がんのリスクをわずかに上昇させる可能性があります。
便秘が大腸がんのリスクを増加させる主な理由は以下の通りです:
便秘による長期的な便通の遅延
便秘が続くと、大腸内に長時間便が滞留し、大腸内の有害物質や発がん物質との接触時間が長くなります。
慢性的な炎症
便秘により、腸内の炎症反応が増加する可能性があります。長期的な炎症は、細胞の変異やがんの発生を促すことが知られています。
大腸の運動低下
便秘により、大腸の運動が低下することがあります。正常な腸の動きは便の移動を助けるため、運動低下は便の滞留を引き起こす可能性があります。
一方で、便秘が大腸がんに直接つながるという証拠は限られています。大腸がんの発症にはさまざまな要因が関与しており、遺伝的な要因、食生活、運動不足、喫煙、肥満などがリスクを増加させることが知られています。
便秘を含む消化器系の症状が長期間続く場合は、適切な検査や評価を受けることが重要です。早期の大腸がんの発見と治療は治癒率を高めるために非常に重要です。定期的な健康チェックや検診を受けることも、健康管理のために大切です。
考えられる疾患
1.機能性便秘(一次性便秘)
- 慢性便秘症(水分・食物繊維不足、運動不足)
- 過敏性腸症候群(IBS)- 便秘型(ストレスで悪化、腹痛を伴う)
- 加齢に伴う腸蠕動低下(高齢者に多い)
2.器質性便秘(二次性便秘)
- 大腸がん(便が細くなる、血便、体重減少)
- 大腸ポリープ(無症状のことが多いが、大きくなると便秘や血便)
- 腸閉塞(イレウス)(腹部膨満、嘔吐、排ガス・排便停止)
- 巨大結腸症(Hirschsprung病)(先天的な腸の神経異常)
3.内分泌・代謝性疾患
- 甲状腺機能低下症(倦怠感、むくみ、体重増加)
- 糖尿病性神経障害(腸蠕動低下)
- 高カルシウム血症(口渇、多尿、意識障害を伴うことも)
4.薬剤性便秘
- 鎮痛薬(オピオイド系)、抗コリン薬、降圧薬、抗うつ薬 など
5.婦人科疾患(女性)
- 子宮筋腫・卵巣腫瘍(腸を圧迫して便秘になることがある)
鑑別のポイント
☑便秘の期間と排便状態
慢性的(数ヶ月以上)
機能性便秘、過敏性腸症候群
突然発症・悪化
大腸がん、腸閉塞(緊急)
便が細い・血便がある
大腸がんの可能性
☑随伴症状
体重減少・血便
大腸がんの可能性
倦怠感・むくみ・寒がり
甲状腺機能低下症
腹痛・腹部膨満・嘔吐
腸閉塞(緊急対応が必要)
ストレス・不安で悪化
過敏性腸症候群(IBS)
必要な検査
大腸内視鏡検査
(大腸カメラ)
-
大腸がん、ポリープ、炎症性腸疾患(IBD)
腹部X線(レントゲン)・CT
腸閉塞の確認
甲状腺ホルモン検査
(TSH, FT4)
甲状腺機能低下症の評価
血液検査(糖尿病、
腫瘍マーカー、電解質異常)
- 糖尿病性神経障害、高カルシウム血症の評価
まとめ
- 慢性的な便秘は、生活習慣(食物繊維・水分・運動)を見直すことが重要
- 突然の便秘悪化、血便、体重減少がある場合は大腸がんの可能性も考慮
- 腹部膨満・嘔吐・排便停止があれば、腸閉塞の緊急対応が必要
- 女性は婦人科疾患(子宮筋腫、卵巣腫瘍)も鑑別が必要
▶ 便秘が長期間続く場合や、悪化する場合は、大腸内視鏡検査を受けることが推奨されます!