考えられる疾患
1.消化管のガス発生増加
(発酵・吸収不良)

- 食事によるもの(豆類、炭酸飲料、人工甘味料、乳製品、発酵食品など)
- 乳糖不耐症(乳製品摂取後に腹部膨満感・下痢を伴う)
- 過敏性腸症候群(IBS)- 便秘型 or 下痢型(ストレスで悪化、腹痛、便通異常)
- セリアック病(グルテン過敏症)(小麦摂取後に腹部膨満・下痢)
- 小腸内細菌異常増殖症(SIBO)(慢性的な腹部膨満、ガス産生増加)
2.腸蠕動異常
(ガスの排出増加)
- ストレス性腸症状(呑気症によりガスを飲み込み、腹部膨満・げっぷも増加)
- 過敏性腸症候群(IBS)- ガス型(ストレスで腸の動きが異常になりガスが多くなる)
- 糖尿病性腸症候群(腸の神経障害でガスがたまりやすい)
3.腸閉塞・腸捻転
(ガスの排出が阻害される場合)
- 腸閉塞(イレウス)(腹痛、腹部膨満、嘔吐、排ガス停止)
- 腸捻転(激しい腹痛、腹部膨満、ガスが抜けない)
4.大腸疾患
(ガスの産生増加や腸内環境の変化)

- 大腸がん(便秘や便が細くなる、血便、体重減少)
- 大腸ポリープ(大きくなると腸の通過異常でガスがたまりやすい)
- 炎症性腸疾患(IBD)(潰瘍性大腸炎・クローン病:下痢、血便、腹痛)
鑑別のポイント
☑おならの増加+随伴症状の確認
乳製品摂取後に悪化
乳糖不耐症
小麦摂取後に悪化
セリアック病
ストレスで悪化、腹痛を伴う
過敏性腸症候群(IBS)
血便・体重減少を伴う
大腸がん、炎症性腸疾患(IBD)
便秘+腹部膨満+ガスが抜けない
腸閉塞の可能性(緊急対応)
☑ガスの種類とにおい
においが強い(腐敗臭・硫黄臭)
タンパク質過多、腸内細菌の異常
酸っぱいにおい(発酵臭)
乳糖不耐症、腸内細菌のバランス異常
必要な検査
便検査(乳糖不耐症テスト、セリアック病検査)
吸収不良症候群の診断
腹部CT・レントゲン
腸閉塞の評価
小腸内細菌異常増殖(SIBO)検査
慢性的なガス発生の原因確認
血液検査(腫瘍マーカー、
炎症マーカー)
がんや腸疾患のスクリーニング
まとめ
- おならが多い場合は、食事・ストレス・腸内環境の影響を考慮する
- 乳製品や小麦摂取後に悪化する場合は、乳糖不耐症やセリアック病の可能性
- 腹痛や便通異常(便秘・下痢)がある場合は、過敏性腸症候群(IBS)や炎症性腸疾患(IBD)の可能性
- 血便・体重減少・便秘がある場合、大腸がんの可能性も考慮し、大腸内視鏡検査が推奨される
- 腸閉塞の疑いがある場合(ガスが抜けない・腹部膨満・嘔吐)は緊急対応が必要!
▶ 単なる食事の影響か病気によるものか、症状の経過と随伴症状をよく観察し、必要に応じて消化器内科を受診!