胃潰瘍・十二指腸潰瘍とは?
胃潰瘍と十二指腸潰瘍は、どちらも胃酸によって胃や十二指腸の粘膜が傷つき、潰瘍(かいよう)と呼ばれる深い傷ができる病気です。これらをまとめて消化性潰瘍(peptic ulcer)と呼ぶこともあります。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の
原因は?
胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因は、主に以下のものが挙げられます。
ピロリ菌感染
ヘリコバクター・ピロリ菌という細菌が胃に住み着くことが、最も一般的な原因です。この菌が胃粘膜を傷つけ、潰瘍を引き起こします。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の長期服用
イブプロフェンやアスピリンなどの痛み止めは、胃粘膜を保護する物質を減らし、潰瘍を引き起こすことがあります。
ストレス
過度のストレスは、胃酸分泌を増加させ、潰瘍を悪化させる可能性があります。
その他
喫煙、アルコール、ステロイド剤など
それぞれの原因について
もう少し詳しく説明します。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
これらの薬は、痛みや炎症を抑える効果がありますが、同時に胃粘膜を保護する物質の産生を抑制してしまうため、潰瘍の原因となることがあります。
ストレス
ストレスを受けると、胃酸の分泌が増えたり、胃の動きが変化したりすることがあります。これらが、胃粘膜を傷つけ、潰瘍を引き起こす一因となります。
胃潰瘍と十二指腸潰瘍の
違いは?
胃潰瘍と十二指腸潰瘍は、発生する場所が異なるため、痛みを感じるタイミングが少し異なります。
- 胃潰瘍:食後に痛みが起こることが多いです。
- 十二指腸潰瘍:空腹時や夜間に痛みが起こることが多いです。
しかし、症状はどちらも似ており、明確に区別することは難しい場合もあります。
胃潰瘍と十二指腸潰瘍の
診断は?
胃潰瘍や十二指腸潰瘍の診断は、主に以下の検査によって行われます。
1. 問診
2. 身体診察
3. 胃内視鏡検査(胃カメラ)
- 胃カメラと呼ばれる細い管状のカメラを口から挿入し、直接胃や十二指腸を観察します。
- 潰瘍の有無や大きさ、場所などを確認できます。
- 潰瘍から組織を採取し、病理検査を行うことで、がんとの鑑別やピロリ菌感染の有無を調べることができます。
4. 血液検査
- 貧血や炎症の有無を調べます。
- ピロリ菌感染の有無を調べる検査もあります。
診断のポイント
ピロリ菌検査
潰瘍の原因となるピロリ菌感染の有無を調べることは、治療方針を決める上で重要です。
がんとの鑑別
潰瘍の中には、がんが原因のものもあります。内視鏡検査で組織を採取し、病理検査を行うことで、がんとの鑑別を行います。
胃潰瘍と十二指腸潰瘍の
治療は?
胃潰瘍や十二指腸潰瘍の治療は、主に薬物療法と生活習慣の改善が中心となります。
薬物療法
胃酸分泌抑制剤
胃酸の分泌を抑えることで、潰瘍の治癒を促し、痛みを軽減します。
- プロトンポンプ阻害剤(PPI):効果が高く、広く使用されています。
- H2ブロッカー:PPIよりも効果は劣りますが、副作用が少ない薬剤です。
胃粘膜保護剤
胃粘膜を保護し、修復を促します。
ピロリ菌除菌薬
ピロリ菌が原因の場合、抗生物質などを用いてピロリ菌を除菌します。除菌することで、潰瘍の再発を予防できます。
痛み止め
痛みがある場合は、痛み止めが処方されることがあります。
生活習慣の改善
食事
消化の良いものを少量ずつ、こまめに食べましょう。刺激物や脂っこいものは避け、規則正しい食事を心がけましょう。
休息
十分な睡眠をとり、体を休ませましょう。
ストレス管理
ストレスは胃に悪影響を与えるため、ストレスを溜めないようにしましょう。
禁煙・節酒
喫煙や飲酒は、胃粘膜を傷つけるため、控えましょう。
NSAIDsの服用
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を服用している場合は、医師に相談し、必要に応じて別の薬に変更しましょう。
治療の目標
潰瘍の治癒
薬物療法によって、潰瘍を治癒させます。
痛みの軽減
痛み止めや胃酸分泌抑制剤によって、痛みを軽減します。
再発予防
ピロリ菌除菌や生活習慣の改善によって、再発を予防します。
治療期間
治療期間は、潰瘍の大きさや深さ、原因、個人の体質などによって異なります。通常は数週間から数ヶ月程度ですが、症状が重かったり、再発を繰り返したりする場合は、長期的な治療が必要になることもあります。
治療を受ける上での注意点
自己判断で薬を服用しない
医師の指示なしに、市販薬を服用するのは避けましょう。
医師の指示に従う
医師の指示通りに薬を服用し、食事療法を行いましょう。
定期的に医師に診てもらう
症状が改善しても、定期的に医師に診てもらいましょう。
まとめ
胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、早期に発見し、適切な治療を受けることで、完治が期待できる病気です。もし、上記のような症状が続く場合は、早めに医師にご相談ください。