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感染性腸炎

感染性腸炎とは?

感染性腸炎とは?感染性腸炎とは、ウイルスや細菌などの病原体が腸に感染し、炎症を起こすことで起こる病気です。主に、下痢、嘔吐、腹痛などの症状が現れます。

感染性腸炎の原因は?

感染性腸炎の原因は、主に以下の微生物が挙げられます。

ウイルス

ノロウイルス、ロタウイルスなどが代表的です。これらのウイルスは、特に集団生活をしている場所や施設で流行しやすい傾向があります。

細菌

大腸菌、サルモネラ菌、カンピロバクターなどがあります。これらの細菌は、主に汚染された食品や水を介して感染することが多いです。

寄生虫

ジアルジアなどがあります。主に、汚染された水や食品を介して感染します。

感染性腸炎の感染経路は?

感染性腸炎の感染経路は、主に以下の3つが考えられます。

1. 経口感染

汚染された食品や水を口にすることで感染します。特に、生もの、加熱不十分な食品、汚染された水などが原因となることが多いです。

2. 接触感染

感染者の便や嘔吐物に触れた手で口に持っていく、汚染された物に触れた手で口に持っていくなど、直接または間接的に病原体が入ることで感染します。

3. 飛沫感染

感染者の咳やくしゃみの飛沫を吸い込むことで感染する場合もあります。特に、ノロウイルスなどでは、飛沫感染も重要な感染経路の一つとされています。

感染経路を理解することで、感染予防に役立ちます。

手洗いの徹底

食前、調理前、トイレの後など、こまめな手洗いを心掛けましょう。

食品の衛生管理

食材は十分に加熱し、生ものは避けましょう。

水の衛生管理

衛生的な水を飲みましょう。

人混みを避ける

感染者が多くいる場所を避けるようにしましょう。

感染性腸炎の症状は?

感染性腸炎の症状は、感染した病原体や個人の体質によって異なりますが、一般的に以下の症状が見られます。

  • 下痢:水様便や血便を伴う場合もあります。
  • 嘔吐:激しい嘔吐を伴うこともあります。
  • 腹痛:腹部痙攣を伴うこともあります。
  • 発熱:高熱が出る場合もあります。
  • 悪心:吐き気がする状態
  • 食欲不振

これらの症状は、通常数日から1週間程度で治まりますが、重症化すると脱水症状や栄養不良を引き起こす可能性もあります。

感染性腸炎の診断は?

感染性腸炎の診断は、患者さんの症状、病歴、そしていくつかの検査を組み合わせて行われます。

1. 問診

医師は、いつから症状が出始めたのか、どのような食事を摂ったか、海外旅行歴など、詳しい話を聞きます。これらの情報から、感染源や考えられる病原体を絞り込むことができます。

2. 検査

便検査

  • 便培養検査:便の中にいる病原菌を培養して種類を特定します。
  • 便中の抗原検査:便の中に病原体の成分(抗原)があるかどうかを調べます。特に、ウイルス性の腸炎では、迅速に結果が出る抗原検査が有用です。

血液検査

白血球数や炎症反応などを調べ、感染の程度や合併症の有無を評価します。

その他

症状によっては、大腸内視鏡検査やCT検査などが必要になる場合もあります。

大腸カメラ検査

診断の難しさ

感染性腸炎の原因となる病原体は多岐にわたり、症状も似ているものが多いため、正確な診断には時間がかかることがあります。また、全ての病原体を特定できるわけではなく、原因不明のまま症状が治まってしまう場合もあります。

感染性腸炎の治療は?

感染性腸炎の治療は、主に対症療法と、原因となる病原体に対する特異的な治療の2つに分けられます。

対症療法

対症療法とは、症状を和らげるための治療法です。感染性腸炎では、以下の治療が一般的です。

水分補給

水分補給下痢や嘔吐によって失われた水分を補給することが最も重要です。経口補水液やスポーツドリンクなどをこまめに飲むことが推奨されます。重症の場合は、点滴による輸液が必要になることもあります。

食事療法

下痢が落ち着くまでは、消化の良いものを少量ずつ食べましょう。刺激の強いもの、油っぽいもの、冷たいものは避け、おかゆやスープなど、消化しやすいものを選ぶと良いでしょう。

薬物療法

  • 下痢止め:下痢を止める薬ですが、腸内の毒素を排出するのを妨げる可能性があるため、むやみに使用することは推奨されません。
  • 吐き気止め:嘔吐が激しい場合は、吐き気止めが処方されることがあります。
  • 鎮痛剤:腹痛が強い場合は、鎮痛剤が処方されることがあります。

特異的な治療

特異的な治療とは、原因となる病原体に直接作用する治療法です。

抗菌薬

細菌が原因の場合は、抗菌薬が有効な場合があります。しかし、ウイルス性の腸炎には抗菌薬は効果がありません。

抗ウイルス薬

ウイルス性の腸炎に対しては、効果的な抗ウイルス薬はまだ限られています。

治療のポイント

原因菌の特定

どの病原体が原因かによって、治療法が変わってきます。

症状の程度

症状が軽度であれば、対症療法のみで十分な場合もあります。

合併症の有無

脱水症状や栄養不良など、合併症があれば、それに合わせた治療が必要になります。

治療を受けるべき場合

  • 脱水症状:尿量が減る、めまい、ふらつき、意識が朦朧とするなどの症状が出た場合。
  • 高熱:高熱が続く場合。
  • 血便:便に血が混ざっている場合。
  • 激しい腹痛:耐えられないほどの腹痛がある場合。
  • 嘔吐が続く:嘔吐が止まらず、水分補給ができない場合。

これらの症状が出た場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

治療期間

感染性腸炎の治療期間は、原因となる病原体や個人の体質によって異なりますが、通常は数日から1週間程度で症状が改善します。