約2割の大腸癌を予防可、5つの生活習慣の推奨遵守で
2025.03.15
目的
本研究は、5つの生活習慣の推奨事項(身体活動、ウエスト周囲径、喫煙、アルコール摂取、食事)の遵守と大腸がん(CRC)発生リスクの関連を評価し、不遵守によるCRC発生割合を推定することを目的とした。
研究デザイン
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対象者: デンマーク・コペンハーゲンおよびオーフスの一般住民55,487人(50〜64歳、1993~1997年の時点でがん未診断)。
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研究方法: 前向きコホート研究
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主要アウトカム: 大腸がんの発生率と生活習慣スコアの関連(Cox回帰分析を用いて評価)。
結果
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追跡期間: 中央値9.9年
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CRC発症者: 678人(男性・女性)
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生活習慣スコアの影響: 推奨事項を1つ多く満たすごとに、大腸がんリスクは11%低下(発生率比[IRR] 0.89、95% CI 0.82-0.96)。
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不遵守によるCRC発生割合:
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すべての推奨事項を守った場合、CRCの23%(95% CI 9%-37%)が予防可能。
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1つの推奨事項を守らなかっただけで、CRCの13%(95% CI 4%-22%)が関連。
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結腸がん・直腸がんのリスク:
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結腸がん: 生活習慣スコアとの関連が統計的に有意。
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直腸がん: 同様の傾向が見られるが、有意差なし。
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結論
身体活動の維持、適切なウエスト周囲径の管理、禁煙、適度なアルコール摂取、健康的な食事(食物繊維の摂取、脂肪摂取の制限、赤身・加工肉の制限、果物・野菜の摂取)を実践することで、大腸がんリスクを大幅に低減できる可能性が示された。本研究では、生活習慣の推奨事項を守れば、大腸がんの約23%が予防可能であると推定された。
このシンプルな生活習慣スコアは、公衆衛生対策に応用しやすく、大腸がん予防における重要な指標となり得る。