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TOPICS/Q&A

約2割の大腸癌を予防可、5つの生活習慣の推奨遵守で

目的
本研究は、5つの生活習慣の推奨事項(身体活動、ウエスト周囲径、喫煙、アルコール摂取、食事)の遵守と大腸がん(CRC)発生リスクの関連を評価し、不遵守によるCRC発生割合を推定することを目的とした。

研究デザイン

  • 対象者: デンマーク・コペンハーゲンおよびオーフスの一般住民55,487人(50〜64歳、1993~1997年の時点でがん未診断)。

  • 研究方法: 前向きコホート研究

  • 主要アウトカム: 大腸がんの発生率と生活習慣スコアの関連(Cox回帰分析を用いて評価)。

結果

  • 追跡期間: 中央値9.9年

  • CRC発症者: 678人(男性・女性)

  • 生活習慣スコアの影響: 推奨事項を1つ多く満たすごとに、大腸がんリスクは11%低下(発生率比[IRR] 0.89、95% CI 0.82-0.96)。

  • 不遵守によるCRC発生割合:

    • すべての推奨事項を守った場合、CRCの23%(95% CI 9%-37%)が予防可能

    • 1つの推奨事項を守らなかっただけで、CRCの13%(95% CI 4%-22%)が関連。

  • 結腸がん・直腸がんのリスク:

    • 結腸がん: 生活習慣スコアとの関連が統計的に有意。

    • 直腸がん: 同様の傾向が見られるが、有意差なし。

結論
身体活動の維持、適切なウエスト周囲径の管理、禁煙、適度なアルコール摂取、健康的な食事(食物繊維の摂取、脂肪摂取の制限、赤身・加工肉の制限、果物・野菜の摂取)を実践することで、大腸がんリスクを大幅に低減できる可能性が示された。本研究では、生活習慣の推奨事項を守れば、大腸がんの約23%が予防可能であると推定された。

このシンプルな生活習慣スコアは、公衆衛生対策に応用しやすく、大腸がん予防における重要な指標となり得る。

【原文を読む】
Kirkegaard H et al. Association of adherence to lifestyle recommendations and risk of colorectal cancer: a prospective Danish cohort study. BMJ. 2010; 341:c5504